カルチャー 2025年11月19日

Text by SPARK Daily

「最も行きたい国」1位に日本。欧米が評価した「唯一の強み」とは

「最も行きたい国」1位に日本。欧米が評価した「唯一の強み」とは

20万人以上の外国人旅行者が選んだ「最も行きたい国」ランキングで、日本が10年ぶりに1位に返り咲いた。しかし、興味深いのは日本が選ばれたことそのものではなく、トップ10の顔ぶれだ。自然派が圧倒的多数を占めるなか、日本だけが異質な存在として浮かび上がる。いったい何が評価されたのか?

イギリスの旅行誌が選ぶ「Most Desirable Country」

イギリスの旅行雑誌「Wanderlust」が発表したReaders' Choice Awards 2025で、日本が「最も行きたい国」1位に選ばれた。この賞は、20万人以上の読者による投票で決まる。同誌は1993年創刊で、「オフ・ザ・ビートン・トラック(観光地ではない場所)を旅する」をコンセプトに、サステナビリティと本物の体験を重視する旅行者に支持されてきた。

日本が同誌で1位を獲得するのは10年以上ぶりとなる。評価のポイントは、「革新、精密さ、伝統の融合」と「好奇心を持って旅する人を報いる国」だという。東京や京都といった定番都市だけでなく、四国の野生的な海岸線、金沢の職人文化、離島の暮らしにまで関心が広がっている。「国の魂が最も感じられる場所」として、旅行者は日本の奥深さを探求し始めている。

トップ10の8ヵ国が「自然」推し

ランキング全体を見ると、ある傾向が浮かび上がる。2位のコスタリカ、3位のカナダ、4位のオーストラリア、5位のペルー、6位の南アフリカ、8位のニュージーランド、9位のブラジル、10位のエクアドル。トップ10のうち8ヵ国が、自然やエコツーリズムを売りにしている国だ。

コスタリカは中米の小国ながら、生物多様性のホットスポットとして知られる。「Time Out」誌が選んだ「最も過小評価された目的地」でも、コスタリカのオサ半島が「世界最高のエコアドベンチャーの一つ」として紹介された。カナダは雄大な自然美、オーストラリアはグレートバリアリーフ、ペルーはマチュピチュとアマゾン、南アフリカはサファリ、ニュージーランドはフィヨルドと氷河。いずれも「野生」「未開の地」「サステナビリティ」がキーワードだ。

Wanderlust読者の特徴は明確だ。彼らは大規模なクルーズ旅行やオールインクルーシブ・リゾートには興味がない。「観光地の罠」や「オーバーツーリズム」に苦しむ場所も避ける。求めているのは、地元の人々と交流し、文化を深く理解し、自然を保護しながら旅をする体験だ。

唯一の「都市+文化」枠

この自然派だらけのトップ10のなかで、日本は異質だ。唯一、都市と文化を前面に押し出している国と言っていい。アメリカが7位にランクインしているが、アメリカも国立公園や自然美が主な魅力だろう。

日本の強みは、一つの国で多様な体験ができることにあるだろう。東京という世界最大の都市圏があり、京都という伝統文化の中心地があり、北海道の雪景色から沖縄の亜熱帯の海まで、新幹線で数時間移動すればまったく異なる世界に出会える。伝統的な神社仏閣と最先端のテクノロジーが共存し、職人の手仕事とロボット工学が同じ国に存在する。

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Time Out誌が選んだ「世界で最もクールな街」でも、東京の神保町が1位に選ばれた。神保町は古書店街で、「東京の知識人たちが何世代にもわたって集う場所」と評された。また、Time Out誌の「2025年ベストシティ」でも東京が上位にランクインしている。これらの評価に共通するのは、「知的好奇心を刺激する」という要素だ。

「深さ」と「本物」

ランキングが示すのは、旅行者の価値観の変化だ。従来の「観光名所を巡る」スタイルから、「深く体験する」スタイルへのシフトが起きている。同誌の編集方針を見ても、「地元のビジネスを支援し、地元の人々と出会い、文化の一部を味わいたい」という読者像が明確だ。

日本はこの需要に応えていると言えるだろう。四国の海岸線を歩き、金沢の職人工房を訪ね、離島の暮らしに触れる。そうした体験が「国の魂を感じる」瞬間を生み出す。

多様な選択肢がある時代、日本は「何でも揃う」稀有な存在として選ばれている。自然も文化も、伝統も革新も。好奇心を持って旅する欧米人にとって、日本は尽きることのない発見の場となっているようだ。

Source: timeout.com ほか

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