Rivianといえば、アウトドア志向の電気ピックアップトラックで存在感を示してきた。そのRivianがいま、自社チップ開発と完全自動運転に舵を切った。テスラと同じ道を歩み始めたように見える。しかし、決定的な違いがある。イーロン・マスクが「不要」と切り捨てたライダー(LiDAR)に、Rivianは全力で投資している。この戦略の分岐点は、何を意味しているのか?
EVメーカーから、自動運転企業へ
Rivianは2021年、R1TピックアップトラックとR1S SUVで市場に登場した。デザインは洗練され、オフロード性能は高く、アウトドア愛好家から支持を集めた。しかし、2025年12月11日に開催されたAI and Autonomy Dayで、Rivianは新たな顔を見せた。
自社開発のシリコンチップ。自社設計のライダーシステム。そして、レベル4完全自動運転への道筋。RJ・スカリンジCEOは明言した。「真の自動運転を実現するには、垂直統合が必要だ」
これは、テスラがたどった道だ。テスラも自社でチップを開発し、自動運転技術を内製化してきた。Rivianは今、同じ戦略を採用している。しかし、ここに重要な違いがある。
テスラとの決定的な違い:ライダー(LiDAR)
テスラのFSD(Full Self-Driving)は、カメラのみに依存している。イーロン・マスクは2019年、ライダーについてこう述べた。「ライダーに頼る者は破滅する」。別の機会には「ライダーは松葉杖だ」とも発言している。
マスクの主張は明快だ。人間の目がカメラであるように、自動運転もカメラだけで実現できる。ライダーは高価で不要だ、と。
一方、Rivianはライダー+カメラ+レーダーのマルチセンサー方式を選んだ。スカリンジは、ライダーが提供する3D空間認識の精度を重視している。暗闇でも、悪天候でも、ライダーは周囲の物体を正確に捉える。カメラだけでは難しい状況でも、ライダーは機能する。
同じ目標、レベル4完全自動運転。しかし、アプローチは真逆だ。
センサー論争の本質:「安さ」か「確実性」か
この対立は、技術的な議論以上のものを含んでいる。コストと安全性のトレードオフだ。
カメラは安い。量産しやすい。テスラのFSDは、既存の車両に搭載されたカメラを活用している。追加コストは最小限だ。しかし、カメラには限界がある。霧の中では視界が悪い。夜間の物体検出は不完全だ。そして、テスラのFSDは依然としてレベル2だ。ドライバーの監視が必要で、完全自動運転ではない。
対照的に、Waymoはライダーを採用し、1日10万回以上の自動運転走行を実施している。ドライバーなしで、サンフランシスコやフェニックスの街を走る。Waymoの車両は、レベル4を実現している。
問いかけはこうだ。自動運転において、「安く作る」ことは正解なのか?それとも、確実性を優先すべきなのか?
RivianはWaymoと同じ道を選んだ。高価でも、確実な技術に賭ける。
2026年、ジョージア工場が試金石になる
Rivianの野心は、自動運転車の製造だけにとどまらない。最終的には、ロボタクシー事業も視野に入れている。2026年、ジョージア州の新工場で量産が始まる。そこでは、レベル4自動運転を搭載した車両が生産される予定だ。
自動運転市場では、WaymoやCruiseが先行している。しかし、Rivianには独自の強みがある。EVメーカーとしての実績、垂直統合の能力、そしてライダーへの投資だ。
テスラとは異なる道を選んだRivian。その賭けが成功すれば、自動運転の「正解」が書き換わるかもしれない。
